城と宿

「一国一城の主」という言葉があるが、さしずめ、大学とは学問の城、なのかもしれぬ。

しかし、部外者にとっては、つかのまをそこで過ごす広間、せいぜい、宿に過ぎない。

学会の世話役をしかるべき大学の専任教員が務めるのは、「一国一城の主」であると目されているからなのかもしれず、客人を城に招く、に似た作法が様々にあるわけだが、しかし、このフィクションはこの先も維持可能なのか。

「大学が我々のものではなくなってしまった」という嘆きは、守護大名が下克上を嘆くかのように見えないこともないが、日本の大学は近代化の産物なのだから、最初から、大学教員は「お殿様」ではないとも言える。(学問の道は、誇り高き旧士族の受け皿だったのかもしれないにしても……。)

宿としての機能と利便性を考えて、場合によっては、城外に広間や宿を設定する。そしてその世話役は、「城主」であることを要件としない。

学会という組織は、もう、それでいいんじゃないか。(=カフカと城)